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か ご め か ご め
か ご の な か の と り は
い つ い つ で や る
よ あ け の ば ん に つ る と か め が す べっ た
う し ろ の しょう め ん だ れ
『天華ちゃん、だめだよー』
『目あけたらわかっちゃうじゃないー』
だってだれがいるのかわかんないんだもん!
『わかるわけないでしょー』
『わかったらすごいじゃない?』
さっきから皆は当たっているのに、あたしだけが当たらないの……。
『そんなのしらないよー』
『ただだれかのなまえをいえばいいんじゃない』
『かんたんだよ』
『とにかく目はあけちゃだめー』
……、終わらないよ、これ。つまらないもん。
『前の人の足見たらだれだってわかるじゃない? 天華ちゃん、ズルしてる』
ズル……違う、あたしはしてない。したくないもん。
でもわかんない。
目を開けなきゃ、遊びが終わらないの。
だから目は開けさせて。
『天華ちゃん、卑怯だ』
卑怯……。
とにかく、私はこれを思い出すからこの唄が嫌でたまらないのに。
どうして今思い出すのだろう。
私が一人莫迦なことをしたからなのか、それとも私自身が卑怯だったのか。
あの友達は彼方と同じ気持ちだったのかもしれない。
私の自分勝手な感情で行動を阻められて。
私が嫌いでたまらなかったのかもしれないのに。実際、彼方は私のことがうっとうしく思っていたはずなのに。
どうして私はいつも一人で空回って、一人で満足しているのだろう。
莫迦みたい。
相手のことが好きだとも自分でわからずに。
樋都が私のところへ戻ってくるまで、私は彼方の血で濡れた手をじっと見つめてその場に立ち尽くしていた。
「天華……?」
「……」
俯いたまま顔をあげようとしない私に、樋都は何かの誤解を解こうとしているように慌てたそぶりで落ち着きのない動作を繰り返していた。
「あのね、あれは」
「わかってる」
樋都がいいたいのはきっと私に嘘をついて戦場へと赴いていったことだろう。確かにあれに腹を立てたのは確かなのだけど、今冷静に考えると正しい判断だった言えると思う。何の役にも立たない全神を連れて行ったって邪魔としか言いようがない。全神は何でも出来ると信じて疑わない私を適当にあしらう事ぐらい雷は簡単なことだっただろう。真実を知れば私でもそう思うもの。
「私は邪魔だったんだよね」
「違っ……!」
樋都の言うことを掃き捨てるように、すっと顔を上げる。
何も違うことなんかない。そういうように。
悲しみ暮れたような顔をしていた樋都が、今度は驚きの表情を見せていた。目を何度も瞬いて私を訝しんでいる。
何。
そう言おうとすると、樋都が何に気づいたのか悲鳴のような声を出した。
「天華、目……! 右目が……!」
――――右目?
右目といえば、視力が殆どないほうの目だ。それがどうしたというのか。
困惑した私は、樋都の次の言葉で愕然とするのだった。
「右目の、色が違う。赤いの……!」
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