執筆中に結構お題についての感想をもらいました。全神天華で使われているお題は四字熟語だけではなく、成句文字がほとんどです。もちろん四字熟語もありますが。 あまり成句文字が知られていないので、全神天華で使われた成句文字(四字熟語も含む)の意味を載せたいと思います。 それに加え、ちょっぴり話の概要や人物の心情を暴いたりしたいなぁと……。


01.転落事故 // てんらくじこ
  まんま。深い意味はないです。(汗) 四字熟語でも成句文字でもありません。
02・28.慎終如始 // おわりをつつしむことはじめのごとし
  《物事の終りにあたって、その最初のときと同じく慎重な態度でのぞみ、最後まで気を緩めないこと。》
  と言うわけで最初と最後にこの題をつけました。作者にとっては目標ということでつけた題です。
03.兼愛無私 // けんあいむし
  《ひろく人々を愛して私心を持たないこと。》
  矢彦の牽制の意味を込めて(笑)。あまり考えずに題をあてましたけど。
04.小人革面 // しょうじんめんをあらたむ
  《つまらぬ人物が面持ちを改める。》
  天華の心情。頑張れよ、の意味を込めて。
05.餓鬼偏執 // がきへんしゅう
  《餓鬼のようにがつがつしていて、他人の迷惑をかえりみず、もっぱら自分の考えに固執すること。》
  ちょっと違いますが、彼方の登場です。彼方の性質はこんなもんです。
06.夜長夢多 // よるながければゆめおおし
  《夜長ければ見る夢も長くなる。事が長引くと、いろいろ好ましくない変化の生ずる恐れがあるということ。》
  千鳥は天華にとってそれほどにも恐ろしく見えたんですよ。
07.乱離骨灰 // らりこっぱい
  《ちりぢりに離れて、めちゃめちゃになること。》
  話と題の共通はないです。適当にこの文字をあてた記憶ならあります。(何)
08・19・21・24.千紫万紅 // せんしばんこう
  《色とりどりの花が咲き乱れているさま。》
  神さまの榊と話にあたります。昔はいろいろあったということで。
09.麻中之蓬 // まちゅうのほう
  《よい環境の仲で育ち、良い教育を受ければ、人間も邪悪な心を生じることもなく、まっすぐに育つというたとえ。》
  天華がひっきりなく思っていたこと。あくまで心の中で、ですけど。
10.青天霹靂 // せいてんへきれき
  《予期しない変事、突発的な出来事のたとえ。》
  海道再び登場。土産は戦話と、とんでもなかったりします。
11.花鳥風月 // かちょうふうげつ
  《自然の美しい風物のこと。また、美しい自然を観賞する風雅な心のこと。》
  またしても話との共通はなし。神代はこんな土地なんだ、みたいな感じでしょうか?(かなりアバウト)
12.新涼灯火 // しんりょうとうか
  《秋になり、涼しくなり始めたころは、灯火のもとで読書するのにふさわしい時期だ、ということ。》
  神代はこんな土地なんだver.2(コラ)
13.百術千慮 // ひゃくじゅつせんりょ
  《いろいろな方法を考えあれこれと思慮を巡らすこと。》
  天華の心情そのままです。考えて考えて、いきついた先は……。
14.籠鳥恋雲 // ろうちょうれんうん
  《捕らえられて籠に入れられた鳥が、自由に飛び回っていた大空の雲を恋い慕う。》
  と、樋都が思っているのかなぁと雷が思っていたり? これは意味ではなく題名でつけました。
15.和如琴瑟 // わすることきんしつのごとし
  《夫婦の中の睦まじいこと。》
  天華と矢彦の再会のシーンのところでしょうか。彼方との組み合わせも考えてました。
16.風月主人 // ふうげつしゅじん
  《清風、明月の美しい夜に、その風雅を楽しむ主人公となること。》
  天華の部屋から見る庭はこんなものかなぁと想像してみたり。
17.綺羅如星 // きらほしのごとく
  《美しくはなやかなさまがまるで夜空いっぱいにきらめく多くの星のようである。》
  綺羅の名前の由来。綺羅が登場するのでこの題名をつけました。
18.一刻千秋 // いっこくせんしゅう
  《わずかなひとときが千年のように長く感じられること。》
  彼方との過去。天華はこのように感じたはずです。
20.繋風捕影 // けいふうほえい
  《いずれも不可能なことから、とりとめがなく、あてにならないことのたとえ。》
  閑は意外と重要だったりするんですが。志穂は脇役です。
22.廓然大悟 // かくねんたいご
  《疑いの心がくまなく晴れて確信の境地を得たこと。》
  彼方の言動が明らか(?)になります。グッバイ、彼方。
23.鴻雁哀鳴 // こうがんあいめい
  《流民が窮状を哀訴するさまのたとえ。》
  ふらふら状態の天華の気持ちですねー。作者は天華を子犬みたいだなぁと(何)
25.迦楼羅心 // かるらしん
  《仲間や助力者がいてこそ物事が達成できるとする心のあり方を言う。》
  迦楼羅は金翅鳥・妙翅鳥などと訳します。巨鳥なんだとか。本来は仏法の守護神で、ここでは幽鬼と扱ってます。
26.蓮華世界 // れんげせかい
  《極楽浄土のこと。》
  これも題名の雰囲気でつけました。天華が元の世界に戻ってしまう話。
27.君命無二 // くんめいむに
  《君主の命令に二通りと言うことはない。》
  これも題名の雰囲気で、『君の命はひとつ』という感じでつけました。意味は全然違いますが。
29.会者定離 // えしゃじょうり
  《会った者とは必ず別れ別れになるのが運命であるということ。》
  目次からは飛べないエピローグ。最後に相応しく榊たち三人のお話です。


 と、かなりアバウトに題名をつけてます。そんなもんなんです。成句文字がいっぱいあって、ひとつひとつ目を通してしまうとキリが無いので 目をつけた中で意味が通りそうなものを使わせてもらっています。とはいえ、大部分は漢字の雰囲気やしっくりくるものを選んでいます。 他にも使いたかった成句文字があるんです。成句文字をもっと見たい方は図書館に行って調べると、もっと良い成句文字が見つかると思います。 私的に四字熟語よりも成句文字の方が好きですね。『如』や『之』という漢字が沢山あることだけは気に入らないんですけども。
 作者はこれをきっかけに成句文字の虜となってしまいました……(笑)

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