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昔々、あるところに神様がいました。
神様は人の世に初めて渡ってきました。
その神様は近くに住む人間の災いをはらい、豊作を願いました。
そのおかげか、人間に神様がいるのだと証明されることとなりました。
ある日、神様は神社に奉られることとなりました。
神様は自分の住処ができて大変喜びました。
そしてその神社には数人の女の人が来ました。
人間はその女の人たちを巫女と呼びました。
それに倣って神様も巫女と呼ぶことにしたのです。
その巫女の中に、普通の人間では見えない神様を見たという人が現れました。
神様は驚きました。
なぜなら、今までに神様を見たという人はいなかったのですから。
そこで、神様はそれは本当なのか試してみることにしました。
神様の声が聞こえたら、その人は本物です。
神様は大声で、ここにいる巫女の全員が聞こえるくらいの大声で叫びました。
もし、私の声が聞こえるなら神社に生えている木の中で三番目に大きい楠木の近くに来なさい、と。
しばらく経って、巫女の一人が神様の前に現れました。
神様の方をじっと見ています。
そしてこういいました。
あなたは神様ですね、と。
神様はうなずきました。
巫女は満足したようで、神様の近くに寄りました。
そして、名乗りました。
私は榊(さかき)です、と。
榊は、神様のことが見える唯一の人間だったのです。
そして、全神と呼ばれる所以となる人間なのです。
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