chapter 1 さよなら日常 ようこそ非日常 1
これはゲーム。
子供から大人まで遊んで楽しむよくあるゲーム。
というか楽しませることしか能がないゲーム。
しかし悲しいことかな、あたしにしちゃ全然楽しくない。
それどころか怪物は出るわ求婚されるわどっか異世界に飛んでしまうわでこれっぽちも良いことなんかない。
これで気づいて欲しいものだ。
ゲームは楽しさと引き換えに労力とお金を要する。
今の世界ならではの等価交換。
世界全体がそうやって出来ているんだからゲームは意外と長く続けてきている。
素晴らしいものよ。
あたしだってついこないだまではゲームをやってきていて、それなりに楽しんできた。
労力を使われているとも知らず、寧ろそれらを忘れさせるほど楽しんできたのだから。
それがどうした。
たった一人の悪魔に全て変えられちゃったじゃないのよ。
世界ってうまく出来ているんじゃなかったの?
なんであたしがこんな目に合わなきゃいけないのよ。
このゲーム、等価交換どころじゃないわ。
あたしいつの間にか貢物になってんじゃない。
お金はともかく、労力をた〜んまり消費されていっているのに楽しくないのは何故?!
答えは簡単。
楽しいと思うこともなく労力ばっかし使わされているから。
あと安らぎの場がないことかしら。
せめて学校か家のどちらかはゆっくりと休みたかった。
だけど家は悪魔の住処だし学校は悪魔どころか天使まで現れちゃってさぁ大変。
どうなる?! あたしの人生!
って、あたしはただこのゲームが始まる前の日常に戻りたいだけなんだけど。